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育毛トピックニュース
■発毛組織育てる化合物 住友電工、商品化へ
住友電気工業は人の発毛組織の成長を促す化合物を開発した。従来の発毛・育毛剤が、血行促進などによって
発毛組織が成長しやすい環境を整えるのに対し、組織に直接作用するため、発毛効果が極めて高いという。
医薬品、化粧品メーカーと提携した上で、2010年ごろに発毛剤としての商品化を目指す。肝臓や血管などの
臓器を形成する再生医療への応用も進める。
開発したのは十個程度のアミノ酸が結合したペプチド化合物。毛包という発毛組織が新毛の形成を始める際、
スイッチの役割を果たす。毛髪や臓器など人体組織の形成を促すたんぱく質として知られる
エピモルフィンの一部を組み合わせ「EPM」と名付けた。
エピモルフィンは約三百個のアミノ酸が複雑に結合している構造。住友電工はそのうち発毛を促す機能の
組み合わせを発見し、EPMとして人工合成した。大量生産も容易という。
同社は電線の被覆材として有機材料を開発するため、1980年代からバイオ研究に取り組んできた。
発毛・育毛剤成分としては大正製薬が「リアップ」の商品名で販売しているミノキシジルが有名。ただ、
従来品のほとんどは発毛を阻害する脂肪などを取り除いたり、血行不良を解消したりすることで間接的に
発毛を促している。EPMは毛包に直接、組織再生を働きかける点が異なる。
動物実験でマウスの体毛をそると、通常再び生える毛は最初の5%程度の分量。従来の発毛剤を塗れば50%程度に
高まるが、EPMは従来品の百分の一の濃度で90%程度の毛が生えるという。住友電工は実験で効果が確認できたことから、
医薬品メーカーなどと提携し、人体による臨床試験を実施する。すでに複数の企業から打診が来ているという。
臨床試験は7、8年かかる見通し。
同社はEPMの開発過程で、組織の部位に応じて有効なアミノ酸の組み合わせを効率的に探す方法(スクリーニング法)を
確立した。同じ手法で血管や肝臓、皮膚などを再生する新物質の開発も可能としている。
発毛剤の世界市場は約二千億円。将来六千億円まで拡大すると予測されている。住友電工は他の臓器の再生医療も
含めると潜在市場は大きいと見ている。
エピモルフィンとEPM
エピモルフィンは、住友電気工業大阪研究所EPM開発室の平井洋平主席らと京大の竹市雅俊教授が共同研究の結果、
1992年に発見したたんぱく質。上皮を意味する「エピセリウム」と、組織の形成を意味する「モルフォジェネシス」
から竹市教授が名付けた。
上皮細胞は毛の生える皮膚の表皮や肺の中で酸素を取り込む肺胞、胃の粘膜など人体の様々な機能を担う。
エピモルフィンは上皮の正常な組織形成を促すために分泌される。住友電工が開発したEPMはこの再生機能を
毛髪組織に集約した。エピモルフィンが無い状態で皮膚の上皮細胞を培養しても毛が生えず、肺の上皮細胞を
培養しても肺胞ができないため臓器再生医療の鍵を握ると見られる。
(日経産業新聞 2002年2月4日)
■発毛組織 死んだ根っこも再生に道 住友電工、新物質を開発
大手電線メーカーの住友電気工業は、毛髪を作り出す細胞組織を再生する物質の開発に成功した。
従来の発毛剤は、血行促進などで間接的に毛の発育を促し、いわば発毛の環境整備をするのに対し、
この物質は、毛髪を作る細胞組織を再生させる点が新しく、「世界初の発毛剤になる可能性がある」(同社)という。
同社は医薬品や化粧品メーカーと提携し、2010年ごろをめどに商品化を目指す方針だ。
毛髪を作り出す細胞組織「毛包」が活動を休止すると、脱毛や薄毛の原因となる。同社はこのメカニズムに注目、
ヒトの臓器や組織の再生をめざす「再生医療」の技術を使った。
新物質は、EPMと呼ばれ、休止した古い毛包に代わる新生毛包を形成させる。細胞を皮膚や臓器などの様々な
組織に形作らせる働きを持つたんぱく質「エピモルフィン」の中から、毛包の形成を促す生理活性物質を取り出し、
合成した。
脱毛状態にしたマウスでの実験では、35日後、何もしないと表面積の約5%しか毛が生えないが、毎日1回、
皮膚に濃度を薄くしたEPMを塗ると、90%以上の毛が生えた。同社は動物実験による安全性試験を終えており、
医薬品メーカーなどと提携してヒトでの臨床試験に進む予定。
住友電工は、電線の被覆材の研究の延長として、80年代はじめにバイオ分野に進出。今後、血管や臓器などの
ヒトの組織の形成を促す物質の発見も目指す方針。
大阪大大学院医学系研究科皮膚科学教室の板見智助教授の話
生体内にある生理活性物質を発毛剤や育毛剤として応用するのは、新しい試みだ。従来の発毛剤とは、
作用の仕方が根本的に違う可能性がある。ただ、毛髪だけでなく、ほかの臓器にも作用する可能性があるので、
安全性を慎重に見極める必要がある。
(朝日新聞 2002年2月6日)
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